15年来の愛読書「ぼくは勉強ができない」

私が10代のころからお気に入りの小説を紹介させてください。
勉強ができないけれど女の子にもてる高校生の秀美くんが、かっこいい大人になろうと悩み、考える青春の話。
恐らく30代になってからは初めて、懐かしさで手に取ってみた感想です。

ぼくは勉強ができない 山田詠美 文春文庫

10代のころこの本が大好きでよく読んでいた私は、秀美くんみたいなキラキラした青春を経験していなくて、どちらかというと正反対の「勉強はできるけれど面白くない」高校生だったと思います。
こんなキラキラした高校生がいるのかと憧れ、秀美くんの経験値がずいぶん大人に見えたものでした。

秀美くんの年齢を大きく過ぎて、久しぶりに読んでみても、やっぱり秀美くんは素敵な高校生なのだけど、ちょっと見方が変わっていることに、自分も変化したものだと感じました。

一番の違いは、「こんな高校生活を送ってみたかった」という感覚から、「子ども達がこんな高校生活を送れるといいな」とか「子ども達にこんな風に思ってもらえる大人になりたい」という感覚になったことです。
10代のころには注目していなかった、大人の登場人物たちに、共感したり、こんな大人になりたいと思ったりする自分がいました。

中でもサッカー部顧問の桜井先生と母親の仁子さんは、私の目に格好いい大人として映りました。
特に、秀美くんが家で自分の青春の悩みについて話すシーンは、親子のとても良い関係として印象に残っています。
決して子ども中心ではないのに、子どもにしっかり愛情を伝えられていて、大きくなった子どもが悩んだ時にその悩みを話そうと思える。
私も子ども達とこんな関係を築きたいと思いました。

秀美くんの年上の彼女の桃子さんだけは、大人になって読んでも魅力がよくわからないのだけど。
これはもてない人間のひがみか…?

とりとめもなく書いてきましたが、青春のあこがれだった「ぼくは勉強ができない」が、親になって読んでみると、理想的な親子関係を描いていたことに気づいた、というお話でした。

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