人類が、人類の社会がどのようにして今の姿になったのか、順を追って説明してくれるこの本。
歴史に明るくない理系人間にとっては、長く、すべてを理解しようとすると難解な部分が多いけれど、歴史から今を考えるヒントを得られる本だと感じました。
この長い本を精読する自信がなかった私はAudibleで聴き流しました。
前提知識はほとんどないけれど、認知革命、農業革命、人類の統一、科学革命という大きな流れの中で人類が何をしてきたかというイメージをつかむことは十分できました。
他の多くの生物を犠牲にして今の姿を手にしていながら、個々のヒトの幸福度は高くなっていないということが皮肉に思えました。
「サピエンス全史」ユヴァル・ノア・ハラリ/柴田裕之 河出書房新社
どんな本なのかはよく知らなかったけれど、Audibleで見つけて、ベストセラーだから聴いてみようと軽い気持ちで手に取りました。
世界を見る前提知識の教養として、歴史を身に着けたいという思いもありました。
歴史として知らなかった内容が多くあり、それらのつながりも含めて勉強になりました。
歴史上のあらゆる選択の理由は、後になっていろいろな解釈がされるけれど、他の選択肢出なかった理由は生き残った者の後付けでしかない、という指摘には納得させられましたし、歴史を見る心構えを教えられました。
一番の驚きは、進歩を続けているように思える人類の歴史の中で、ヒトという種ではなく私たちの個人としての幸福度は上がっていないということでした。
物質的な困窮は減り、世界が平和になっても(平和になっているかどうかも怪しい昨今の状況でありますが)、個人がどの程度幸福を感じるかということは遺伝子的に決まっているのだそうです。
確かに、1000年前と現在で比べれば、幸福を感じるためのハードルは上がっているだろうということは容易に想像できました。
一方で、人類が快適を追求する代償に多くの他の生物たちが犠牲になっていることは周知のとおりです。
快適をめざし、効率をめざし、ますます多くのエネルギーを使って、幸福になるのでなければ私たちは何を目指しているのか、そこに意識を向けなければならないと思いました。
「サピエンス全史」からの学びとこれから
社会はこれからも変化を続けていくけれど、その中で自身はどうなりたいのかということを問い続けなければならないと思いました。
その中で、私にとってのキーワードはやはり「幸福」です。
最近の「SDGs」や「ウェルビーイング」の動きも、すべての個人や人類以外の生物も含めた幸福を最大化しようという試みなのだと思います。
「サピエンス全史」を読んで関心が強まったこの機会に、こうした試みについて、もう少し学びを深めてみたいですね。
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