スマホでいつでもネットニュースが見られる今、読まなくてよかったなぁ(むしろ読まなければよかったなぁ)と思うニュースが多くなっているように感じていました。
それなのに、見逃すのが怖い気がして、世界がなぜこうなっているのかという疑問に答えが出せる気がして、自分の生き方に影響を及ぼすような情報が得られる気がして、目的もなくニュースを読んでいました。
本書によると、この「気がして」はすべて思い違い。
「ニュースは害しかないからすべて断て」という主張は極端にも感じるけれど、本書に述べられている理由には納得しました。
「News Diet 情報があふれる世界でよりよく生きる方法」 ロルフ・ドベリ サンマーク出版
世の中のことをよく知っている知的な人に憧れて、ニュースを毎日読んでいました。
上述したとおり、「何か自分の仕事や人生に役に立つ情報を見逃したくない」という漠然とした理由で、いろいろなところにアンテナを張っていればいつか何かに生かせるだろうと期待していました。
それでも、真面目にニュースを読んでいるつもりでも、一向にそれが自分の身になる感覚はないし、世の中のあらゆる出来事に対して自分なりの考えを持っているなんて格好いい状況には程遠い。
それどころか、ネットニュースには真偽不明の怪しげな情報があふれ、にもかかわらずリンクが気になってクリックして時間を浪費してしまうことも多々ありました。(たとえば新型コロナ関係のニュースとかね)
世の中は思っているより複雑だし、大多数の出来事は自分に無関係
本書の指摘の中でも私の気を楽にしてくれたのは、あらゆる出来事の原因や理由を明確に説明できるほど、世の中は単純ではないということ。
しっかりニュースを読んでいれば、世界の出来事の理由が一つ二つ書いてあって、それを読むことで自分は賢くなれるのだという思い込みを捨てられました。
ニュースの作り手にしたって答えを知っているわけではないけれど、それを因果関係のストーリーにすることで、読み手に受けるようにしているわけだと思いました。
それから、ニュースの大半は自分の「能力の輪」の外にあるという事実も、改めて言われてみればそのとおりです。
ニュースを断っている著者に対して指摘した人と同様に、私も世界で起こっている悲惨な出来事に「関心を持たなければならない」と思っていました。
関心を持って、何か意見を持たなければならないとも思っていました。
でも確かに、世界の悲惨な出来事について自分にできることはないのです。
だからニュースで世界の惨状に心を痛めている暇があったら、残業したり副業したりしてお金を稼ぎ、それを寄付せよ、ということになるのです。
そのかわり、自分の「能力の輪」の中にあることについては全ての情報を得るようにしなければなりません。
確かに、そうして自分の「能力の輪」の中に集中して精一杯学び、仕事をするほうが自分のためにも社会のためにもなりそうです。
「能力の輪」を少しずつ広げていくことにも取り組めばいいのではないでしょうか。
自分が読むものを決めるのは自分
当たり前のようですが、ネットニュースで浪費している時間にはこれができていません。
意志の力でこれをやることは困難だから、特にネットのニュースは初めから断ってしまおうということです。
何かについて検索した結果たどり着いた記事がニュースであるなら、自分が読むものを自分で決めていることになるので問題ないとのことでした。
そうすると、自分が意図していない情報を読まされてしまうようなところには近づかない、というのが最低限のお約束になりそうです。
ニュースによって賢くなろうと期待しないで、考えることによって賢くなろう
ニュース断ちを試してみても特に大きな害になることはないと感じたので、さっそくスマホのニュースアプリを削除し、ブラウザのホームページをニュースサイトからGoogleのトップページに変更してみました。
SNSの中でも自分の「能力の輪」の外のことへの言及が多く、読んでいて無力感や怒りといったネガティブな感情を呼び起こすようなアカウントがあったので、ミュートにして目に触れないようにしました。
SNSはあくまで自分の「能力の輪」の中について言及しているアカウントをフォローし、自分もそのような使い方をしようと思いなおしました。
確かにこれらは精神衛生上よさそうです。
そして、ニュース断ちをすることでできた時間を何に使うか。
もちろん「能力の輪」の中を充実させるために使うのですが、やっぱり私は、幼稚な表現だけれど、もっと賢くなりたい。
ニュースを受け取るという受け身の態度ではなく、能動的に情報を得るという姿勢を意識していきたい。
たとえば本書の中で紹介されていた方法だと、本を読む前にそのテーマについて数分時間をとって自分でじっくり考える、だとか、自分のお気に入りの主張の反論を探す、だとかいうことがトレーニングとして使えそうです。
書いていて、あぁ、そんなの面倒くさいな、ともちろん思ったけれど、だから自分の力になるのだと信じて、やってみます。
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