強烈なタイトルに惹かれてAudibleで聴いてみました。
仕事に関して、このままではいけないとモヤモヤを抱えながら試行錯誤している私としては、手に取らずにはいられないタイトルです。
『不条理な会社人生から自由になる方法』橘 玲 PHP文庫
自分の仕事のモヤモヤ以前に、日本の身分制度と表現されている正規・非正規の実態や、組合は正社員の地位を守るためそれには触れようとしない、など、日本の働く人を取り巻く現実が盛りだくさんです。
特に、文庫版特別寄稿となっていた非正規公務員の悲惨な現実は、とても衝撃的でした。
日本と世界の状況を知るというだけでも、読み物としてとても興味深いです。
ゼネラリストを目指している場合ではない
数年に1回の人事異動は当たり前、いきなりよく知らない職場に異動になっても、なんとか仕事で成果を出している(ように見える)日本の会社員ってすごい、と思っていました。
特に私は新しい環境や新しい業務に慣れるのに時間がかかる方なので、この状況は結構しんどいのです。
本書によると、これって私だけのことではなく、専門外の部署でいきなり管理職を任されるような状況(「不適材不適所」と表現されていました)で多くの日本の会社員が疲弊していると。
こうして「我が社」の専門家にはなるけれど、何の専門性もない会社員が終身雇用で会社に「滅私奉公」する。
私の仕事に対するモヤモヤといえば、「自分の専門性」と言えるものを主体的に積み上げていかないと、会社の外では通用しなくなってしまうのではないか、というもの。
本書を読んでも、人事異動に身を任せてゼネラリストの道を進んでいくのは危険だし、自分の進みたい道でもないと感じました。
「色々な経験をする」のはいいのだけど、「会社が行けと言う部署に行きます」みたいな姿勢でいてはいけないなと。
自分のキャリアを自分でコントロールできるよう、主体的にスキルを身に着けていくようにしないとな。
「自己啓発」は人気があるけれど
スキルを身に着けた結果、組織に属さずフリーランスとして仕事をすれば、仕事の人間関係も選ぶことができる。
変化する世の中で、長い老後もフリーランスとして仕事をし続けられるよう、自己啓発しましょうね、生涯学習しましょうね、という結論になるのかと思いきや、それは「馬鹿げている」と一蹴されていて、ちょっと衝撃をうけました。
私も、例に漏れずそんな自己啓発が好きなので、『え、違うの?』と思ってしまいました。
スキルを身に着けて人的資本を大きくしよう、というのではなく、「長く働く」「一緒に働く」ことが現実解だよ、というのが本書のメッセージです。
「長く働く」というのは、老後問題は老後が長いために生じるのであって、60歳を超えても働き続けるならばそもそも老後資金などいらなくなる、と言う話。
「一緒に働く」の方は要は共働きしましょうね、ですが、我が家の場合どちらかが養うつもりも養ってもらうつもりもないので詳細は割愛。
どちらも『当たり前だよね』と私は思いました。
金銭的にも、時間の使い方的にも、60歳とか65歳で仕事をやめるというのは考えられない。
生涯現役でいたい、というのは私のキャリアにおける最終目標かもしれません。
そのためには、会社をやめても仕事ができるスキルや人脈を持っていないといけないね、というのは常に思っていることです。
そこで、私の場合は『だから自己啓発を、生涯学習を』となるのですが、本書で「勇気の出る話」として紹介されていたのはそうではなく、「(日本では)高齢者にそんな仕事があるはずがない」というようなネガティブな考えで行動しない人が多いから、行動を起こすだけで有利なのだ、ということでした。
紹介されていた事例を私なりに考えて、「自分のスキルが求められている場所を探す行動をしよう」ということだと理解しました。
そしてそれは60歳や65歳になったから始める、というだけではなく、もっと早い段階から行動し始めてもいいのだろう。
というか、終身雇用が立ち行かなくなる今後の日本社会を考えれば、今から始めるべきなのだろうと。
行動を起こそう
「人的資本を大きくする自己啓発は無駄」だとは思いたくないし、新しいことを学ぶことは諦めたくはないけれど、「もっとスキルをつけてから」ではなく、今あるスキルを経済的価値に変換する、という考え方がとても大事だなと感じました。
会社が、日本の制度が、と言っていないで、個人として行動を起こすべきですね。
みんなどんな本読んでるのかな〜?
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