以前、前田裕二さんの「メモの魔力」で紹介されていて気になっていた本。
前田さんのメモの考え方も基本は同じで、なるほど、頭のいい人はこうやってアイデアを出しているんだなと思うものの、なかなか身に付かないでいました。
今回、ようやく本書を手に取って読んでみて、やはり今度こそこの知的能力を身に着けたいと強く感じました。
「具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ」 細谷 功 dZERO(インプレス)
この本を手に取った理由は、訓練してできるようになるなら私もいいアイデアを出せるようになりたいから、でした。
とはいえ、はっきり言って私はわかりやすいことが好きな「具体の世界に生きている人」です。
仕事は技術職でずっと技術をやってきたのに、最近管理部門に異動になって、抽象的なことばっかりやっている。
一つ一つの具体を全体の中の数字としてだけ見るのではなくて、「もっと具体的な仕事がしたい」が口癖のようになっています。
それでも、抽象の世界のことも知ってみたい。一を聞いて十を知る。十だけじゃなくて百を知る。
経験したことを別のことにも応用できるようになりたい。
本書で書かれている重要なことは、具体だけでも抽象だけでも不十分で、具体から抽象へ、抽象から別の具体へ、という具体と抽象の間の行き来が良いアイデアを生むということでした。
ある具体で言えることから抽象度の高い共通点を探り、それが別の具体に応用できないかと考えるといいます。
抽象度の低いところでは斬新に見えるアイデアも、抽象度の高いところでは既存のものの応用であるということで、例として回転寿司が工場のベルトコンベアから生まれたことなどが挙げられています。
実効性のある計画も、抽象度の高い目標から具体的な行動計画まで落とし込んだものであるということは納得です。
企業や組織の数値目標は抽象度が低いものだけど、その背景にはもっと抽象度の高い目標があって、その背景には企業の存在価値がある。
話がかみ合わなかったり、「さっきと言っていることが違うじゃないか」というように矛盾を感じることの原因に抽象度のレベルの違いがある可能性もある。
抽象化能力の重要性はわかっても、具体の世界に生きている私がすぐにその知的能力を身に着けられるわけではないと思います。
それでも、話に矛盾を感じたときに抽象度のレベルの違いが原因ではないかと疑うことはできると感じました。
一見関係ない複数の事柄の共通点を探り、一般化できないかと考えることも習慣にしたいと思います。
意識的にたとえ話をしてみるとか、なぞかけを考えてみることも、トレーニングになりそうです。
この本には「『具体⇔抽象』トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問」という問題・解説の本があるので、こちらもやってみます。
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