プロジェクトマネジメントにはISOがあります(ISO20500)。
社会人生活10年、プロジェクト活動には何度も携わってきたけれど、そんなことも知らず、経験でなんとかなる(するしかない)と信じてきました。
社内でビジネススキルを学ぶ有志の勉強会があり、この秋から参加しています。
そこで、プロジェクトマネジメントの教科書として紹介されたのがこちら。
ISO20500に準拠した教科書です。
担当になったら知っておきたい「プロジェクトマネジメント」実践講座 伊藤大輔 日本実業出版社
プロジェクトマネジメントを目的・目標の設定から、計画、実行まで丁寧に解説されています。
感覚でプロジェクトを進めてきた私にとっては、「いろんな文書があるんだなぁ」というのが正直な感想。
初っ端の「プロジェクト憲章」から知らなくて、うちの社内にはどこにあるんだろうと思ってしまいました。
自分のプロジェクトにあてはめてみる
勉強会の教科書なので、この本をもとに参加者の各々が「自分のプロジェクトではこうした」「ここはできていて、ここは足りていない」という議論をしました。
その中で、教科書どおりの書式ではないけれど、同じ目的のものを作っていたり、作っていなくても考えてはいることがわかってきました。
わかりやすいところでいうと、建設プロジェクトにおける「工程表」は「ガントチャート」の一部だよね、とか。
研究開発テーマを立ち上げるときに作成するよう決まっている書式は「プロジェクト憲章」だね、とか。
ただ、現場の工程表は別として、社内で決まった書式の文書はその意味を意識せずに「決まりだから」と作成されていることが多く、本書で何度も言及されているように、プロジェクト中に改訂を加えたり、計画を変更するときに文書に立ち戻ったりすることはほぼないです。
場合によっては形骸化と言っていい状況。
目的と目標
プロジェクトマネジメントの最初の段階は目標設定です。
これが一番大事。
将来の履歴書を作るワークが紹介されていて、どこから作るかがポイントなのですが、私はまんまと「現在から」作ってしまいました。
もちろん、指定された期間のゴールから作るのが正解。
現在から作るとどうしても現在の延長で将来を考えてしまうので、ゴールを決めて、そこまでのマイルストーンを決めて、そのためにはどうするか?を考えるのがプロジェクトマネジメント。
自分の身近なところでいうと、「初めての育休からの復職」は一大プロジェクトだったなと感じています。
目的は「自分のキャリアも子どもとの生活も充実させること」。
そのためには「子どもの預け先を見つける」「復職後の家事代行を見つける」「休み中の仕事のブランクをキャッチアップする」などの目標がある。
例えば預け先の話でいうと「保育園落ちた」が話題になっていたりしたから、預け先を確保するためにいつ、何をするかを計画して実行する、という感じです。
ところで「目的」と「目標」は同じような意味で使われがちですが、本書の中では区別されています。
「目的」はめざすべき状態、「目標」は目的に達するための目印となるもの。
なので、「目標」の方がより具体的なものになります。
上記の育休復帰の例でも、「目標」がより具体的になっています。
ステークホルダーって誰?
目標設定のところで気になったのは「ステークホルダー」のところ。
ステークホルダーという言葉は知っていても、ステークホルダーマネジメントはあまり意識できていなかった。
ステークホルダーによってプロジェクトに対する関心事は異なるので(経理担当者は予算に関心がある、担当役員はプロジェクト成否による自分の評価に関心がある…?)、それをきちんと文書化して、適切に対応すること。
ただしその文書の公開範囲には気をつけて。
ステークホルダーマネジメントで大切だと思ったのは、「すべてのステークホルダーに同じような熱量で対応はできない」ということ。
ステークホルダーごとにプロジェクトへの関心度と権限が異なるので、それに応じて対応方針を決めることになります。
ついつい、「うるさい人に対応する」となりがちなので、「この人の関心度と権限は?」ということを少し意識するだけでも変わってきそうです。
プロジェクトの計画と実行
プロジェクトの目標設定ができたら、プロジェクトの計画。
本書では計画部分に多くのページが割かれていて、いろいろな文書を作成することになっています。
勉強会メンバーの多くがプロジェクトマネジメントを学ぶのが初めてだったので、「こんなに文書がいるの?」ということには疑問を感じていました。
私含め。
勉強会を主催してくれている先輩によると、ある程度文書化しておくことは必要。
特にプロジェクトの最初の計画の段階で、WBS(Work Breakdown Structure)をしっかり考えて作っておくと、あとが楽になるというアドバイスをもらいました。
WBSという用語は聞いたことがあったけど、作ったことがなかったので、一度作ってみようと思います。
プロジェクトの工程表もいきなり作り始めるのではなく、WBSから作る。
初めてのプロジェクトだとWBSを作るのも難しいので、類似のプロジェクトのものが参考になる。
そして実際にプロジェクトが始まったら、計画と実績の比較をし、プロジェクトを軌道修正したり、計画を変更したりしながら目標に向かって実行する。
目標を設定し、達成するための計画をたて、実行できるようになる
プロジェクトマネジメントができる、とはこのようなスキルのことだそうです。
ISOがあることも知らなかった状態から、プロジェクトマネジメントの型を知ることができたということが本書からの学びでした。
もう一つ、プロジェクトマネージャーには、専門家の知識と経験を活用してプロジェクトの計画・実行をしていく人間力が求められていることを強く感じました。
専門家の知識と経験を引き出してまとめるためのスキルの一つとして、今はこの本でファシリテーションを勉強しています。
一人の専門性や知識には限界がある中、チームメンバーのシナジーを生むため、ファシリテーションはとても大事だと思っています。
次はこの本で学んだことを書いてみます。
Audibleでこの前聞いたこちらの本はやや偏りがあって初心者向けの感じがしたけれど、読み終わったら比べてみよう。
みんなどんな本読んでるのかな?
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